大きな可能性を実らせたい・・・ 笑顔の子育て支援・・

保育研究委員会による「保育園児の眠りについての実態調査」

はじめに

近年、私たちが接している子ども達の中に、午前中不機嫌な子が目立ってきました。また、ずっと泣いていたり、午前中に寝てしまったり、逆に午後、昼寝から覚める頃に寝てしまう子もいます。睡眠の時間が一定していない0歳児だけではなく、年中児や年長児でも同様の傾向が見られます。これらは全て、睡眠のリズムに起因するものと考えられます。睡眠のリズムが整っていないため、外での社会生活に身体がついていけないのです。

こういった状況の中、浜松民間保育園長会の保育研究委員会では、浜松市内の民間保育園全園を対象として、子どもたちの生活・発達をより豊かなものにするため“子どもの眠り”についてのアンケートをとらせていただきました。多くの皆様にご協力頂き本当にありがとうございました。
子どもの睡眠を通して、子どもの育ちを守る社会の在り方と育児の方法を広めるための指標になればと思います。また保護者の皆様が感じている育児の困難さを共有し、子どもたちの健やかな育ちを支援していきたいと思います。

調査の方法ですが、浜松市内の民間保育園に在籍する乳幼児を対象にアンケートを配布し、子どもの睡眠時間や保育時間・保護者の就労時間等を調査しました。0歳から5歳までおおむね同数の調査を行い、約1000件の回答が得られました。以下に結果のまとめを報告させていただきます。

眠りのアンケートの結果はこちら

眠りのアンケートH27_02HP用

あとがき

社会生活の著しい変化は、子どもたちの生活に大きく関わってきています。「早寝・早起きは三文の徳」と言われた時代は遙か彼方となり、24時間営業のコンビニエンスストアが都会田舎を問わず開業し、昼夜の区別がなくなりました。大人たちの生活は夜型となり、家族の生活に大きく影響しています。
今回のアンケート調査は、就学前の子どもたちの睡眠時間と家族の就労時間との関係について調べました。このアンケートの結果から3点のことが見えてきたと思います。

まず1点は、保育園児はこちらの予想とは違い「早寝・早起き」が比較的出来ているということです。仕事で忙しくしている家族の影響を受けて睡眠時間はバラバラだったり、親に合わせて夜型になっていることを想像していたのです。しかし、忙しく時間のない中での生活がかえって子どもたちの生活リズムの確立に役立っていることがわかりました。一般的に、保育園児は睡眠時間の不足又は夜更かし型と思われていた部分がありましたが、その予想を裏切り、親が就労して保育園に預けられている子どもが、基本的な生活リズムの確立を可能にしているということです。乳幼児の育ちの中で一番大切な日課のある生活を保障できる保育園は、現代社会において子どもたちの育ち・生活を守る最後の手段ともいえます。保育園が子どもたちの生活を守る社会的な意義は非常に大きいと言えます。

2点目は、生活リズムとは確立するもので、親の意識の違いが反映しています。どんなに忙しく仕事や生活をしていても子どもの生活を大切に思う親と、子どもの言いなりになり夜遅くまでテレビを見せている家庭とでは、生活リズムはおのずと異なります。特に仕事を持つ親は、朝は比較的早起きであるのに対して、就寝が遅くなる傾向にあります。この点で、親の意識(子どもに任せない)の違いが表れています。生活リズムはほっておいては出来ない、意識して確立するものであるという基本を理解しているかが重要となります。

3点目は、父親の帰宅時間です。ほとんどの家庭において父親の就労時間が長時間であり、自ずと帰宅時間が遅い傾向にあります。このことから父親不在の育児がされていると言えます。母親は、仕事を終え保育園のお迎え家事・育児を夕方から就寝まで1人でこなしています。母親の負担とストレスは子どもに向けられていきます。

女性が輝く社会へ国を挙げて啓蒙している現在、本当にそうでしょうか。今、本当に女性が輝く社会を目指すのでしたら、父親たちを家庭に返す政策がまず必要だと思います。母親のみならず父親にとっても就学前の乳幼児を育てる環境として、生活リズムの確立を優先出来る時間帯での就労にすべきであると思います。

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